生前贈与加算の数年間拡大の方向で検討

 

 

政府税調は生前贈与加算については、現在、相続開始前「3年間」の贈与が

 

加算されますが、令和5年度税制改正では、この加算期間が数年間、延長

 

される可能性が高くなってきました。

 

具体的に何年延長されるか、注目したいところです。

 

 

5年あたりになるかもしれません。

 

 

 

医業・歯科医業の概算経費

 

医業や歯科医業を営む個人については、社会保険診療分の経費を概算で計上でき

 

る制度が認められています。

 

この特例を使うことで、節税につながることがあります。

 

【適用要件】次の2つの要件を満たす必要があります。

・社会保険診療報酬が年間5,000万円以下

・自費収入を含めた医業総収入金額が年間7,000万円以下

 

 

【概算経費の計算方法】社会保険診療報酬(A)の額が

①2,500万円以下       ⇒(A)×72%

②2,500万円超 3,000万円以下 ⇒(A)×70%+50万円

③3,000万円超 4,000万円以下 ⇒(A)×62%+290万円

④4,000万円超 5,000万円以下 ⇒(A)×57%+490万円

 

 

年ごとに概算経費と実額計算(実際にかかった経費)を比較し、有利な方を選択

することができます。消費税のように事前に届出書を提出しておく必要もありま

せん。

 

確定申告時に有利・不利の判断をすればよいですが、いったん採用した方法を、

その後の修正申告等で変更することはできません。

 

また、個人事業から法人に移行する場合、個人事業の廃止時期によっては概算経

費を適用することができます。

 

適用の判定に用いる「年間5,000万円」「年間7,000万円」について、月割りする

必要はありません。そのため、その年の社会保険診療報酬が5,000万円以下の時

点で法人成りした場合、概算経費を適用することが可能です。

 

 

医療法人化のメリット

 

 

クリニックを個人経営から医療法人への変更について、相談を受けることがあり

 

ます。

 

 

医療法人化のメリットとしてず挙げられるのが「所得の分散」です。

 

 

個人経営の場合

 

所得=医業収益ー(原価+人件費+固定費)

 

 

医療法人の場合

 

法人所得=医業収益ー(原価+人件費+固定費+理事報酬)

 

個人所得部分が、理事報酬と法人所得に分散されることになります。

 

 

所得税率は5~45%(超過累進税率)ですが、

 

法人税率は19%と23.2%(二段階税率)となっており、

 

所得を分散することで、比較的低い税率を適用することができます。

 

 

他にも、次のようなメリットがあります。

 

・分院の設置が可能

 

・一定の生命保険が費用として認められる

 

・役員報酬に給与所得控除を適用することができる

 

・役員退職金が支給可能

 

 

多くのメリットがありますが、デメリットにも触れておきます。

 

「所得の分散」は、場合によっては、

 

理事長個人の可処分所得の減少につながることがあります。

 

また、法人化によるコスト増大、決算内容の公開等も伴います。

 

今後のクリニックの経営計画等から、医療法人化を検討・判断していく必要があ

ります。

 

 

 

 

事業所得と雑所得の判定基準

 

8月1日、国税庁は、所得税基本通達の改正案、「雑所得の例示等」をパブリック

 

コメントにかけました。

 

 

その中で、「収入金額が300万年以下の場合には、特に反証がない限り、業務に

 

係る雑所得と取り扱うこととします。」という形式基準が改正案の概要として出

 

ております。

 

 

これは、給与所得者が行う副業について損益通算を認めるかどうかという議論が

 

ありますが、これを意識したものとなっていると考えられます。

 

通達案の取り扱いは、令和4年分以後の所得税について適用しますとあり、

 

今年から影響が出そうです。

 

 

 

 

節税保険で業務改善命令

 

7月14日、金融庁は過度な節税が問題となっていた企業経営者向けの節税保険の

 

販売方法をめぐり、マニュライフ生命に対して業務改善命令を出しました。

 

2021年の通達改正後も、別の商品を使った販売をしていたため、金融庁は

 

「悪質性、故意性も認められる」と判断しての措置でした。

 

 

さらに金融庁は国税庁と連携強化して

 

【商品審査段階】

 

①国税庁への事前照会を保険会社にすすめていく

 

②保険会社から同意を得た上で、必要に応じて国税庁に事前照会

 

③事前照会の結果を商品審査で参考情報として活用

 

 

【モニタリング段階】

 

①保険商品に関する節税スキームを国税庁から情報提供してもらう

 

②国税庁の情報や独自に把握した情報を活用し、保険会社・保険代理店をモニタリング

 

③商品開発・募集現場で利用されるスキームを国税庁に情報提供

 

といった形で対応する方針を表明しました。

 

 

 

 

路線価の公表

 

 

7月1日、国税庁より「路線価」が公表されました。

 

全国の平均変動率は前年比プラス0.5%で、2年ぶりの上昇となっております

 

 

令和3年分は新型コロナウイルス感染症の影響で商業地等が下落傾向にありまし

 

が、都市部を中心に回復しております。

 

 

詳しくはこちらから
国税庁「令和4年分財産評価基準」

デンタルローン

 

歯の治療費用をデンタルローンで支払うケースがあるかと思います。

 

その場合の医療費控除はどうなるでしょうか。

 

 

結論、デンタルローンの契約をした年分において、医療費控除を受けることが

 

可能になります。

 

またデンタルローンに係る金利や手数料などは医療費控除の対象にはなりませ

 

ん。

 

 

医療費控除を受ける場合には、領収書が必要になりますが、デンタルローンの

 

ケースでは医療費の領収書が発行されないことがあります。

 

 

そのような場合は、デンタルローンの契約書が医療費控除の証明書として

 

利用することが可能になりますので、保存しておく必要があります。

 

 

 

青色申告のメリット

 

事業を行っている方が確定申告する場合、「青色申告のほうが得だ」と耳にした

 

ことがあるかと思います。

 

 

青色申告では、日々の取引を一定の水準を満たすように記帳する必要があります

 

が、その帳簿に基づいて所得金額及び税額を計算することで、特典を享受するこ

 

とができます。

 

 

メリットとして、代表的なものをいくつか挙げます。

 

①青色申告特別控除

 

申告書に貸借対照表と損益計算書を添付し、電子申告等の要件を満たしている場

 

合には、所得から最大65万円を控除することができる。

 

 

②家族への給与を必要経費にできる

 

事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、記載した金額

 

の範囲内(職務に見合った適正金額)で、家族に支払った給与を必要経費に算入

 

することができる。

 

 

 

③損失の繰越控除(または繰戻し還付)

 

赤字の場合、翌年以降3年間にわたって繰り越し、所得から控除することができる(前年も青色申告をしており黒字であった場合には、その損失を前年に繰り戻して還付を受けることもできる)。

 

④少額減価償却資産の特例

 

取得価額30万円未満の減価償却資産は、全額経費に算入できる(年間の上限あり)。

 

 

白色申告と比較してみます。

 

①特別控除の適用なし

 

②必要経費に算入できる金額に上限あり(配偶者86万円、配偶者以外50万円)

 

③繰越控除の適用なし

 

④取得価額10万円以上の資産は、資産計上(一度に経費に算入されない)

 

 

青色申告の適用を受けたい方は、「所得税の青色申告承認申請書」を提出しまし

 

ょう。

 

提出期限は、その年の3月15日までです。

 

(その年の1月16日以降に開業した場合、開業から2ヶ月以内)

 

 

青色申告を利用することで節税効果が生まれますので、書類の提出など早めの準

 

備をおすすめします。

 

 

 

特例承継計画の提出期限の延長

 

 

令和4年度税制改正によりまして、事業承継税制における特例承継計画の提出期

 

限が延長されております。

 

 

非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度(一定の要件のもとで

 

平成30年1月1日から令和9年12月31日までの間、相続税・贈与税が

 

100%猶予される)について、特例承継計画の提出期限(令和5年3月31日)

 

が1年延長され、令和6年3月31日まで提出可能となっております。

 

 

 

 

 

所得拡大促進税制

 

 

所得拡大促進税制とは、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件

 

を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一

 

部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度になります。

 

 

令和4年度税制改正によって、中小企業においては雇用者全体の給与等支給額の

 

増加額の最大40%が税額控除の対象となっております。

 

 

 

【適用期間】

令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度

 

【必須要件】

 

雇用者全体の給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加 → 30%税額控除

 

もしくは

 

雇用者全体の給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加 → 15%税額控除

 

 

【追加要件】

 

教育訓練費が前年度比で10%以上増加 → +10%税額控除

 

 

 

 

成年年齢引き下げに伴う贈与税・相続税

 

 

令和4年4月1日から民法の改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ

 

ました。

 

贈与税・相続税の受贈者や相続人等の年齢要件は、制度の内容によってそれぞれ

 

異なってきますので注意が必要です。

 

それに伴い、影響のある贈与税・相続税について国税より以下の事例が公表され

 

ております。

 

①令和4年10月に19歳になる方が、令和4年3月に親から贈与を受けた場合の相続

 

時精算課税制度の取り扱い

 

→ 贈与の日が令和4年3月31日以前であるため、その方のその年の1月1日おい

 

て18歳となるため、相続時精算課税制度の適用は受けることができない。

 

 

②令和4年9月に19歳になる方が令和4年中に祖父から受けた贈与について、特例

 

税率の適用が可能かどうかの取り扱い

 

→ 贈与を受ける方のその年の1月1日の年齢が18歳となります。したがって、2

 

月に受けた贈与については、一般税率となりますが、6月に受けた贈与について

 

は、他の要件を満たせば、特例税率を適用することが可能となります。

 

 

 

 

 

「事業承継・引継ぎ補助金」の公募開始

 

 

事業承継やM&A(事業再編・事業統合等。経営資源を引き継いで行う創業を含

 

む。)を契機とした経営革新等への挑戦や、M&Aによる経営資源の引継ぎ、

 

廃業・再チャレンジを行おうとする中小企業者等を後押しするため、「事業承継

 

・引継ぎ補助金」による支援が実施されます。

 

 

この補助金は4月中の申請受付の開始が予定されております。

 

 

 

 

e-taxの障害

 

 

国税庁より3月14日に発生したe-taxの接続障害が発生したことにより、

 

3月15日が確定申告期限の所得税・贈与税について「個別の申告・納付期限延

 

長」を可能とする旨の公表がされました。

 

 

具体的には、申告書に「e-taxの障害による申告・納付期限延長申請」である旨を

 

記載するものとなっております。

 

 

 

 

 

 

ポストコロナ持続的発展計画

 

ポストコロナ持続的発展計画(早期経営改善計画)とは、中小企業・

 

小規模事業者の経営改善への意識を高め、早期から対応を促すため、国が認める

 

専門家(税理士など)支援を受けて資金実績計画表や早期の経営改善計画を

 

策定する場合、専門家に支払う費用の2/3(最大20万円)が補助金として支給

 

されます。

 

補助金を活用することにより、お客様負担「実質10万円」で事業計画の

 

サービスを受けることができるものです。

 

ご検討される際は是非ご相談ください。

 

 

 

 

消費税の還付申告

 

 

国税当局は、消費税の還付申告において課税取引・非課税取引といった

 

課税区分の誤りや取得資産の時期の誤りなどが散見されることもあり、

 

確認が必要な場合には、還付を保留し原因を確認することが明示されました。

 

 

特に消費税の還付申告で多額の還付を受ける場合には、事前に準備と対応が

 

求められることになると思います。

 

 

 

 

確定申告の期限延長

 

国税庁より確定申告期限の延長のお知らせがありました。

 

内容は以下のようになっております。

 

オミクロン株による感染の急速な拡大に伴い、令和3年分の確定申告について

 

新型コロナウイルスの影響により申告等が困難な方については、令和4年4月15日

 

までの間、簡易な方式により申告・納付期限の延長申請ができるようにしまし

 

た。

 

 

簡易な方式とは、申告書の余白等に新型コロナウイルスの影響により延長を

 

申請と記載するのみであり、別途申請書の提出は不要となっております。

 

 

 

 

事業復活支援金の受付開始

 

 

1月31日より事業復活支援金の受付が開始されました。

 

事業復活支援金を申請される際には、登録確認機関による事前確認を受ける必要

 

あります。ご確認いただければと思います。

 

申請要件などの詳細は以下のURLよりご確認ください。

 

 

詳細はこちらより

https://jigyou-fukkatsu.go.jp/

 

 

 

 

ふるさと納税の対象外

 

 

1月17日、宮崎県都農町に対する「1月18日」からの2年間の寄付について、ふるさと

 

納税の対象外になりました。

 

 

今回、都農町が用意していた「3割以下」の基準に適合した牛肉に寄付の申込

 

が殺到し、別の業者も含めて調達したところ、調達が3割を超えたことで、

 

対象外になったようです。

 

 

都農町は全国で5位の寄付額で人気を集めていましたが、指定を取り消されるの

 

は、新制度移行後高知県の奈半利町に続き、2例目となっています。

 

 

令和4年1月17日までに行った寄付についてはふるさと納税の対象となるため、

 

来年の確定申告の際にはご注意ください。

 

 

 

 

電子取引のデータ保存

 

 

令和4年度税制改正大綱で電子取引のデータ保存について2年間の宥恕が記載され

 

ました。

 

 

内容は、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に行う電子取引において

 

て、税務署長が電子データ保存ができないことについてやむを得ない事情がある

 

と認め、かつ電子取引のデータを出力することで作成した書面の提示・提出の

 

要求に応じることができる場合に、電子データ取引の保存要件を満たさなくても

 

OKであるというものです。

 

 

 

 

 

令和4年度税制改正大綱

 

今月10日に自民党の「令和4年度税制改正大綱」が公表されました。

 

改正内容の全体像は次のようになっております。

 

①住宅税制(個人所得税・資産税)

・住宅ローン控除の見直し

・控除率:一律1% → 0.7%

・控除期間:原則10年 → 13年

 

・住宅取得等資金贈与非課税制度の非課税限度額を1,000万円に引き下げ、2年延長

 

・居住用財産の譲渡特例の2年延長

 

 

②法人版事業承継税制(資産税)

 

・特例承継計画の確認申請の期限を令和6年3月31日まで1年延長

 

 

③賃上げ税制(法人税)

 

・中小企業向け(所得拡大促進税制の見直し)

積極的な賃上げと教育訓練で最大控除率40%に

 

 

④交際費課税(法人税)

 

・中小企業の定額控除限度額特例(年800万円)を2年延長

 

・接待交際費の50%損金算入特例を2年延長

 

 

⑤減価償却制度(法人税)

 

・30万円未満の少額減価償却資産の損金算入特例を2年延長

 

 

⑥納税環境整備

 

・財産債務調書制度の見直し

総資産10億円以上を追加(所得基準なし)

 

・消費税インボイス制度の登録手続きの緩和

免税事業者が令和5年10月インボイス制度開始後6年間に課税期間の「途中」

でも登録できるよう緩和