事業者が従業員に提供する食事に対する所得税を非課税とする制度は、
1984年以来、約40年も見直しが行われてきませんでした。
そのため、現在の物価高騰等を踏まえた非課税限度額を現行の3,500円から7,500
円へ引き上げが要望されております。
令和8年度税制改正で検討されており、2026年4月以降の適用が想定されておりま
す。



事業者が従業員に提供する食事に対する所得税を非課税とする制度は、
1984年以来、約40年も見直しが行われてきませんでした。
そのため、現在の物価高騰等を踏まえた非課税限度額を現行の3,500円から7,500
円へ引き上げが要望されております。
令和8年度税制改正で検討されており、2026年4月以降の適用が想定されておりま
す。

給与の中に含まれる「通勤手当」は、一定の範囲内であれば所得税が非課税になります。これは、通勤に必要な交通費を補填する趣旨から、税負担の対象としないという税務上の扱いです。2025年(令和7年)には、この 非課税となる限度額(非課税限度額) が 11年ぶりに引き上げられ、マイカー通勤者にとっての税負担の軽減が図られました。
今回の改正は、主に ガソリン価格の高騰や物価上昇を背景に、実質的な通勤コストが増加している 点を踏まえ、税制面でも非課税枠を見直したものと考えられます。なお、公共交通機関による通勤に対する非課税限度額(1ヵ月上限15万円)は従来通り据え置かれています。
施行日:令和7年11月20日
適用対象の通勤手当支給日:2025年(令和7年)4月1日以降に支払われるべき通勤手当
以下は、片道通勤距離に応じた非課税限度額の改正内容です(1ヵ月あたり)。
| 片道距離 | 改正前(非課税限度額) | 改正後(非課税限度額) | 増加幅 |
|---|---|---|---|
| 2km未満 | 全額課税 | 全額課税 | — |
| 2〜10km未満 | 4,200円 | 4,200円 | 変更なし |
| 10〜15km未満 | 7,100円 | 7,300円 | +200円 |
| 15〜25km未満 | 12,900円 | 13,500円 | +600円 |
| 25〜35km未満 | 18,700円 | 19,700円 | +1,000円 |
| 35〜45km未満 | 24,400円 | 25,900円 | +1,500円 |
| 45〜55km未満 | 28,000円 | 32,300円 | +4,300円 |
| 55km以上 | 31,600円 | 38,700円 | +7,100円 |
※公共交通機関利用者の非課税上限(150,000円/月)は変更ありません。
この改正は 年末調整にも影響します。
令和7年4月1日以後に支給された通勤手当については、新しい非課税限度額を基準に計算する必要があり、改正前の限度額を超えて課税処理していた部分があれば、年末調整で精算することになります。

毎年11月から12月にかけて、企業や事業所で行われる「年末調整」。
給与所得者にとっては、一年間に納めるべき所得税の金額を確定させる大切な手続きです。今回は、その仕組みと、従業員・企業それぞれが準備しておくべき書類、そして注意しておきたいポイントを解説します。
年末調整とは、毎月の給与から源泉徴収されていた所得税の合計額と、実際にその年に支払うべき正しい所得税額を比較・精算する手続きです。
毎月の給与から引かれる税金はあくまで「概算」のため、年末に各種控除(生命保険料控除・扶養控除など)を反映させて過不足を調整します。
この手続きによって、ほとんどのサラリーマンやパート・アルバイトは所得税の確定申告を行う必要がなくなります。
ただし、後述のように一部の控除は年末調整では扱えないため、注意が必要です。
年末調整では、以下の書類の提出が必要になります。提出漏れがあると控除が受けられないため、早めの案内と確認が大切です。
| 書類名 | 内容・用途 |
|---|---|
| ① 扶養控除等申告書 | 家族構成や扶養親族を申告。毎年必須。 |
| ② 保険料控除申告書兼配偶者控除申告書 | 生命保険・地震保険料控除や配偶者控除を記入。 |
| ③ 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除を受ける人が提出(2年目以降)。 |
| ④ 各種控除証明書 | 生命保険・地震保険などの支払証明書(保険会社から10〜11月頃に届く)。 |
| ⑤ 国民年金・国民健康保険料の領収書等 | 自分で納付している場合のみ提出。 |
年末調整では対応できず、確定申告が必要となる控除もあります。代表的なものは次のとおりです。
ふるさと納税(ワンストップ特例を申請していない場合)
医療費控除(年間10万円以上の医療費がある場合)
寄附金控除(ふるさと納税以外の寄附)
雑損控除(災害・盗難・事故による損失)
住宅ローン控除の初年度
年末調整はあくまで「給与所得のみ」の税金計算です。これらの控除を受けるには、翌年2月16日〜3月15日の確定申告期間中に、個人で申告を行う必要があります。
年末調整は、従業員にとっても企業にとっても年に一度の重要な税務手続きです。
提出書類の回収や控除内容の確認を早めに行うことで、年末の事務負担を大幅に軽減できます。
また、ふるさと納税や医療費控除など、年末調整では完結しない控除についても周知しておくと、従業員が確定申告をスムーズに行えるようになります。

パートやアルバイトとして働く方にとって、一定の年収を超えると税や社会保険の負担が増え、「働き控え」の原因となる「年収の壁」。2025年(令和7年度)の税制改正では、これらの「壁」が大きく見直されました。ここでは、改正後の主な「壁」とその意味を整理してご紹介します。
従来、所得税がかからない年収の上限は「給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円」でしたが、令和7年度改正により以下のようになりました(令和9年までは段階的措置)
給与所得控除:最低保証額が55万円→65万円
基礎控除:一律48万円→所得に応じ58~95万円(合計最大160万円)
結果:給与収入が160万円以下であれば所得税が発生しなくなりました。
所得税の非課税ライン引き上げがあっても、住民税は別ルールで課税されます。住民税では、非課税ラインが従来の100万円から110万円に引き上げられ、年収110万円を超えると課税がスタートします。
扶養控除の対象となる世帯内の年収上限も引き上げられました。給与所得控除65万円+基礎控除58万円で、合計所得が123万円以下であれば扶養控除が適用されます。
大学生世代(19〜22歳)の子どもを扶養する場合、新設された「特定親族特別控除」により、子どもの所得が123万円超〜150万円以下でも63万円の控除が受けられます。さらに、150万円を超えても188万円までは段階的に控除対象となります。
配偶者特別控除が満額適用されるラインも、従来の150万円から160万円に引き上げられました。これにより配偶者の年収が160万円以下であれば世帯としての控除額は維持されます。
| 種別 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 所得税非課税ライン | 103万円 | 160万円 |
| 住民税非課税ライン | 100万円 | 110万円 |
| 扶養控除対象者の年収 | 103万円 | 約123万円 |
| 配偶者特別控除満額ライン | 150万円 | 160万円 |
| 大学生世代扶養(特定控除) | ~103万円 | ~150万円(段階的に~188万円) |

絶賛開催中の「大阪・関西万博」。企業の中には、取引先への贈答や社員への配布を検討しているところもあるかもしれません。今回は、万博の入場券を購入した場合の税務上の取り扱いについて解説します。
法人が万博の入場券を購入し、これを販売促進等の目的で取引先に配布する場合、その費用は交際費等ではなく、**販売促進費(損金算入可能)**として処理できる旨を国税庁が示しています。
販売促進費として計上する際のポイントは次の2点です。
目的が販売促進等であること
単なる費用負担など、販売促進以外の目的では認められません。
入場券のみであること
交通費や飲食代を付け加えた場合には、販売促進費等として認められないと考えられます。
従業員の慰安会やレクリエーション等を目的として万博の入場券を購入する場合、その費用は福利厚生費として認められます。さらに、通常必要とされる交通費や宿泊費、さらには従業員の家族分も含めて福利厚生費として処理できることを国税庁が示しています。
福利厚生費として認められるためのポイントは次の3つです。
全従業員を対象とすること
特定の従業員や役員だけを対象とする場合は福利厚生費として認められません。
入場券代だけでなく交通費や宿泊費も含めてOK
取引先への配布とは異なり、付随費用も含めて処理可能です。
従業員の家族分も含めてOK
通常は家族分は対象外ですが、万博については福利厚生費として認められます。
取引先に配布 → 販売促進費(入場券のみ、目的が販売促進であることが条件)
従業員・家族向け → 福利厚生費(交通費・宿泊費も含めて認められる)
万博入場券の取り扱いは、目的や配布対象によって「交際費」ではなく「販売促進費」や「福利厚生費」として処理できる点が特徴的です。
詳しくは国税庁の文書回答事例をご確認ください。
👉 国税庁:万博入場券の税務上の取扱い

猛暑日が続く昨今、作業現場や工場、物流倉庫、屋外作業を抱える中小企業にとって「熱中症対策」は命に関わる重要なテーマです。特に、60歳以上の労働者は加齢により体温調整機能が低下しやすく、若年層と比べて熱中症のリスクが格段に高いとされています。
そんな職場の暑さ対策に活用できるのが、『エイジフレンドリー補助金』です。今回はこの補助金について簡単にご説明します。
エイジフレンドリー補助金は、高齢労働者の労災防止や健康確保を目的に、中小企業の職場改善を支援する制度です。以下の4つのコースがあります。
総合対策コース
専門家によるリスクアセスメントと設備導入を支援。補助率4/5、上限100万円。
職場環境改善コース
段差解消や手すり設置など高リスク作業の安全対策。補助率1/2、上限100万円。
転倒・腰痛予防の運動指導コース
労災加入労働者5人以上を対象に専門家の運動指導を実施。補助率3/4、上限100万円。
コラボヘルスコース
健康教育やストレスチェックなど、全社員を対象とした取り組み。補助率3/4、上限30万円。
| 対策内容 | 補助対象コース | 補助内容のポイント |
|---|---|---|
| 工場・倉庫への大型扇風機・スポットクーラー設置 | 職場環境改善コース | 補助率1/2、上限100万円 |
| 休憩所の冷房設置や日除け対策(テント・冷風機) | 職場環境改善コース | 同上 |
| 高温下作業者への空調服・冷却ベスト支給 | 職場環境改善 or 総合対策コース | 条件により対象 |
| 高齢者向け熱中症予防教育や運動指導 | 転倒・腰痛予防の運動指導コース | 補助率3/4、上限100万円 |
| 社員全体への熱中症対策セミナー実施 | コラボヘルスコース | 補助率3/4、上限30万円 |
2025年(令和7年)5月15日~10月31日
※予算がなくなり次第、締切となりますのでご注意ください。
詳しい情報や最新の公募要領については、以下の公式サイトをご覧ください。
エイジフレンドリー推進協会公式サイト

2025年度(令和7年度)税制改正により、退職所得控除に関する特例「5年ルール」が、「10年ルール」へと変更されることが決まりました。特に、会社の退職金とiDeCo(個人型確定拠出年金)など、複数の退職金等を別々の年に受け取る人にとっては、税額に大きな影響を及ぼす変更です。今回は、この新たなルールについてわかりやすく解説していきます。
〈そもそも「5年ルール」とは?〉
退職金は、給与所得とは異なり「退職所得」として扱われ、退職所得控除という大きな税制優遇を受けられます。
退職所得控除の基本計算式は次の通りです:
| 勤続年数 | 控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円+70万円 ×(勤続年数−20年) |
同じ人が、例えば会社の退職金とiDeCoの一時金を別々の年に受け取った場合、原則としてそれらは勤続年数を通算して退職所得控除を計算します。
しかしこれには特例があり、最初の退職金の受取から5年超経過していれば、それぞれ別の退職として扱い、控除も個別に使えるというのが「5年ルール」でした。
ところが、2025年からはこの「5年ルール」が見直され、10年経過しなければ別枠で控除できないことになります。
〈「10年ルール」適用の有無による控除額の違い〉
以下に、実際のケースをもとに10年ルール適用の有無によって控除額がどう変わるのかを見てみましょう。
①:10年以内に受け取った場合(通算扱い)
退職A:60歳で退職、勤続30年、退職金:2,000万円
退職B:65歳でiDeCo受取、加入15年、受取額:500万円
合計退職金:2,500万円
勤続年数:30年+15年=45年
【退職所得控除額】
20年分:40万円 × 20年=800万円
残り25年分:70万円 × 25年=1,750万円
合計控除額:2,550万円
※退職金2,500万円に対して控除額が上回るため、課税所得ゼロ(非課税)
②:10年超経過して受け取った場合(別枠扱い)
退職A:60歳で退職、勤続30年、退職金:2,000万円
退職B:71歳でiDeCo受取、加入15年、受取額:500万円
【退職Aの控除額】
20年分:800万円
残り10年分:70万円 × 10年=700万円
合計:1,500万円
【退職Bの控除額】
40万円 × 15年=600万円
【合計控除額】=2,100万円(退職金合計2,500万円に対して控除が劣る)
→ 課税退職所得:400万円 × 1/2 = 200万円が課税対象
〈まとめ:分けるか通算か、節税効果はケース次第〉
この計算例では、通算扱い(10年未満)の方が控除額が大きく、税金を抑える結果となりました。これは、勤続年数を通算して45年とした場合の控除額が非常に大きくなるためです。しかし、すべてのケースで通算が有利とは限りません。
1回目の退職金が少額(早期退職など)
2回目の退職金(iDeCoなど)が高額
勤続年数を通算しても20年に満たない
といったケースでは、10年超経過して別々に控除した方が有利になることがあります。ご自身の状況に応じて最適な受取方法を選択するようにしましょう。

2025年度(令和7年度)の税制改正において、最も注目を集めている項目の一つが「防衛特別法人税(仮称)」の創設です。これは、日本の防衛力強化に向けた安定的な財源を確保するために、新たに法人に対して課される特別税です。
〈対象となる法人〉
全ての法人
ただし中小企業への配慮として年間500万円の基礎控除が設けられています。
〈税額の計算方法〉
基準法人税額(※)のうち500万円を超える金額に対して 一律4% が上乗せされます。
計算例 ① 法人税額が500万円の場合
500万円―500万円(基礎控除)×0.04=0円
計算例 ② 法人税額が600万円の場合
600万円―500万円(基礎控除)×0.04=4万円
※基準法人税額は下記の制度を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の税額です。
・所得税額の控除
・外国税額の控除
・分配時調整外国税相当額の控除
・仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除
・戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措置の税額控除及び同措置に係る通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額の加算
・控除対象所得税額等相当額の控除
〈適用開始時期〉
令和8年(2026年)4月1日 以降に始まる事業年度から適用予定となっております。
その他の改正点や詳しい解説は下記財務省ホームページをご覧ください。
(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/20241227taikou.pdf)

4月17日、財務省は「基礎控除等の引上げと基礎控除の上乗せ特例の創設」を
公表しました。
〈103万円の壁が123万円に変更〉
今回の改正により「基礎控除」と呼ばれるどんな方でも課税される収入の種類に関係なく差し引くことのできる控除金額が48万円から58万円に増額されました。また「給与所得控除」と呼ばれる会社からお給料として受け取った収入から差し引くことのできる控除金額が55万円から65万円に増額されました。これらの変更により従来では「48万円+55万円=103万円」以上で所得税の納税義務が発生しておりましたが「58万円+65万円=123万円」以上の収入で所得税の納税義務が発生するようになりました。住民税は前年度の収入に応じて計算されるため令和8年度分の住民税から今回の変更が影響してまいります。
〈特定扶養親族特別控除の新設〉
これまでの制度では大学生などの19~22歳の年齢の方々は働きたくても103万円を超えると親の扶養を外れてしまい親の税負担が増え収入を増やそうにも世帯としての収入が減ってしまうため働くことができないという問題点がございました。そこで今回の改正により、特定親族特別控除を新設することで給与収入額が150万円に達するまでは、改正前の特定扶養親族の控除額と同額の63万円の控除を受けることが出来るようになりました。
その他の改正点や詳しい解説は下記財務省ホームページをご覧ください。
(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/20241227taikou.pdf)

初めて相続時精算課税制度を適用する場合には、贈与税の申告期限までに相続時
精算課税選択届出書を提出しなければなりません。
年間の贈与額が基礎控除額の110万円以下であれば、贈与税の申告書の提出は
不要になりますが、110万円を超える場合は申告書の提出が必要となります。
申告書の提出を失念した場合は、2,500万円の特別控除額の適用ができなくなっ
てしまいますので注意してください!

2月に入り確定申告の申告開始が近づいてまいりました。年末調整と確定申告どちらも所得税の納税額を算出するための作業ですがいまいち違いがよくわからないという方も多いかと思われます。そこで今回は年末調整と確定申告の大まかな違いについてご説明いたします。
【年末調整と確定申告の大まかな違い】
結論から申しますと給与所得を得ている方の年末調整と確定申告の大まかな違いとしては「いつ行うのか」、「誰が行うのか」、「受けられる控除の種類」の3点が挙げられます。個人事業等を行っている方は同時に消費税の確定申告も行うためこちらも違う点として挙げられます。
【いつ行うのか】
・年末調整
12月末~1月にかけて行われ12月、1月支給の給与で還付額等が反映されます。
・確定申告
今年度の場合は2月17日~3月17日が申告期間となっており、納付の場合は3月17日が納付期限、還付の場合は申告後3週間~1ヶ月半後に還付が行われます。
【誰が行うのか】
・年末調整
従業員側は生命保険料の控除金額や前職の源泉徴収票を提出するなどの作業はありますが基本的には企業側が代わりに手続きを行います。
・確定申告
全て個人で手続きを行います。
【受けられる控除の種類】
・年末調整
基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、社会保険料控除、障害者控除、ひとり親・寡婦控除、勤労学生控除、定額減税等
・確定申告
上記の年末調整で受けられる控除、ふるさと納税等の寄付金控除、医療費控除、雑損控除、特定支出控除
※ふるさと納税に関してワンストップ特例制度を使う場合は確定申告不要です。

退職所得の源泉徴収票について、税務署への提出対象者が現行の「法人役員であ
る居住者」から「すべての居住者」に変更されます。
実質的に全員提出となり、令和8年1月1日以後に提出すべき退職所得の源泉徴収
票から適用されます。
提出が必要となる理由としまして、合計所得金額による要件の判定を徹底する
ため、全員の退職所得が対象になったと考えられます。

前回の賃上げ促進税制の際にくるみん・えるぼし認定を取得することにより控除率が5%上乗せされることをご紹介いたしました。しかし、中にはくるみん・えるぼし認定なんて初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。そこで今回はくるみん・えるぼし認定について簡単にご説明いたします。
〈くるみん・えるぼし認定とは〉
・くるみん認定
くるみん認定とは、仕事と家庭の両立を支援するための行動計画を策定し、届出を行った企業のうち、行動計画に定めた目標を達成する等の認定基準を満たした企業を、「子育てサポート企業」として、次世代育成支援対策推進法に基づき厚生労働大臣が認定する制度です。大きく分けて「トライくるみん」、「くるみん認定」、「プラチナくるみん認定」の三種類の認定があり、不妊治療と仕事の両立をしやすい職場環境の整備に取り組む企業に関しては「プラス認定」という認定を受けることができ「トライくるみんプラス」、「くるみんプラス」、「プラチナくるみんプラス」に認定されることになります。
・えるぼし認定
えるぼし認定とは、女性の活躍の推進のための行動計画を策定し、届け出を行った企業のうち、自社の女性の活躍推進に関する取組の実施状況等の認定基準を満たした企業を、「女性の活躍推進企業」として、女性活躍推進法に基づき厚生労働大臣が認定する制度です。えるぼし認定には4段階の段階がありそれぞれ「えるぼし認定1段階目」、「えるぼし認定2段階目」、「えるぼし認定3段階目」、「プラチナえるぼし認定」と表現されます。
〈くるみん・えるぼし認定のメリット〉
くるみん・えるぼし認定には様々なメリットがあるのですがここでは代表的なものを挙げていきます。
・低金利の融資
くるみん認定、えるぼし認定を取得した企業は日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援金」を特別利率にて借入することができます。
・助成金を獲得できる
くるみん認定を取得した企業を対象に「くるみん助成金」という助成金が用意されています。また、「両立支援等助成金」では要件を満たすことで15万円の加算や支給率の割り増し、最大支給額の引上げを受けることができます。
・税金の控除
くるみん認定、えるぼし認定を取得することにより賃上げ促進税制にて控除率の5%上乗せを受けることができます。
・企業イメージの改善
くるみん認定、えるぼし認定を取得することにより子育て世代や女性の働き方改革に積極的に取り組んでいることを示すことができ、新規人材獲得や業種・企業イメージの改善につなげることができます。
くるみん認定・えるぼし認定に関するさらに詳しい説明や認定基準に関しては下記WEBサイトをご覧ください。
厚生労働省 宮崎労働局
(https://jsite.mhlw.go.jp/miyazakiroudoukyoku/roudoukyoku/_120352/_120581/_120743.html)

今年もまもなく年末調整の時期になりました。すでに各種控除証明書を職場に提出された方も多いのではないでしょうか。令和6年度税制改正において、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)に変更が加わりましたので今回は住宅ローン控除の基本と変更点に関してご説明していきたいと思います。
〈住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)とは?〉
住宅借入金等特別控除とは、返済期間10年以上の住宅ローンがある場合に一定条件を満たすと、入居した年から最長で13年間、年末時点での住宅ローン残高の0.7%分を所得税・住民税から控除できる制度です。
〈住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を受けるための用件〉
住宅借入金等特別控除の用件は住宅の種類によって異なります。今回はおそらく購入される方が多いと思われる新築住宅の用件をご紹介いたします。
① 住宅の新築等の日から6か月以内に居住の用に供していること。
➁ この特別控除を受ける年分の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。
③ 住宅の床面積が50平方メートル以上であり、かつ、床面積の2分の1以上を居住のために使用しており、この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること。または住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満であり、かつ、床面積の2分の1以上を居住のために使用しており、この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、1,000万円以下であること。
④ 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築または取得のための一定の借入金または債務があること。
⑤ 2つ以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。
⑥ 居住年およびその前2年の計3年間に次に掲げる譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと。
(1) 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
(2) 居住用財産の譲渡所得の特別控除
(3) 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
(4) 財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
(5) 既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換 え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例
⑦ 居住年の翌年以後3年以内(令和2年3月31日以前の譲渡の場合は、居住年の翌年以後2年以内)に居住した住宅(住宅の敷地を含みます。)以外の一定の資産を譲渡し、当該譲渡について上記(1)~(5)に掲げる譲渡所得の課税の特例を受けていないこと。
⑧ 住宅の取得は、その取得時および取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得でないこと。
⑨ 贈与による住宅の取得でないこと。
〈令和6年度税制改正による変更点〉
住宅借入金等特別控除の主な改正点は下記の3つです。
① 省エネ基準を満たさない新築・買取再販住宅は控除対象外になる。
※2023年中に建築確認を受けている場合、または2024年6月30日までに工事が完了した場合は借入限度額2,000万円・控除期間10年間の住宅ローン控除が適用することができます。
➁ 新築・買取再販の借入限度額の引下げ
・長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円⇒4,500万円
・ZEH水準省エネ住宅 4,500万円⇒3,500万円
・省エネ基準適合住宅 4,000万円⇒3,000万円
・その他の住宅 3,000万円⇒ 0円(上記①)
③ 子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額の縮小見送り
19歳未満の子どもがいる子育て世帯、夫婦のうちいずれかが40歳未満の若者夫婦世帯は省エネ基準を満たす新築・買取再販住宅であれば変更前の限度額にて住宅借入金等特別控除を受けることができます。
その他細かい変更点や要件等に関しては国税庁ホームページをご覧ください。
国税庁 ホームページ
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/code/bunya-tochi-tatemono.htm)

令和6年度の税制改正により賃上げ促進税制の期間の延長と制度変更が行われました。今回は賃上げ税制に関する概要と変更点についてご説明していきます。
〈そもそも賃上げ促進税制って何?〉
賃上げ促進税制とは従業員への賃上げや人材育成に係る投資額に応じて法人税の税額控除を行うことで従業員の給与引き上げ、スキルアップを促進することを目的とした制度です。令和4年度税制改正による適用要件と税額控除は下記の通りでした。
①雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加
⇒給与支給増加額の15%を法人税額または所得税額から控除
➁雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加
⇒税額控除率を15%上乗せ
③教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加
⇒税額控除率を10%上乗せ
〈令和6年度税制改正による変更点〉
上記①、➁の用件と税額控除に関しては変更点はありませんでしたが③の教育訓練費に関する要件が変更されました。また、女性活躍等支援として新たに5%の上乗せが追加され最大控除率が40%から45%に増加しました。また、未控除金額の繰越しが可能になった点も大きな変更点です。具体的な内容は下記の通りです。
教育訓練費(上記③)の新要件
変更前:教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加
変更後:教育訓練費の額が前年度と比べて5%以上増加していること、適用事業年度の教育訓練費の額が適用事業年度の雇用者給与等支給額の0.05%以上であること
女性活躍等支援(新設)
適用事業年度中にくるみん認定、くるみんプラス認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を取得したこと、または摘要事業年度終了の時において、プラチナくるみん認定、プラチナくるみんプラス認定若しくはプラチナえるぼし認定を取得していること
⇒税額控除率を5%上乗せ
未控除金額の繰越し(新設)
中小企業者等または青色申告書を提出する常時使用する従業員が1,000人以下の個人事業主
⇒賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額の5年間の繰越が可能
〈適用時期〉
令和6年4月1日~令和9年3月31日までに開始する事業年度
その他賃上げ促進税制に関する詳しい説明は下記のサイトをご覧ください。
中小企業庁 中小企業向け「賃上げ促進税制」
(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html)

6月から始まった定額減税、6~7月の給与や夏季賞与によりなんとなく制度を理解できてきた頃かと思われます。しかし、中には毎月の定額減税を受けているのにも関わらず突然「定額減税補足給付金(調整給付)のお知らせ」が届き、混乱されている方もいらっしゃるではないでしょうか。そのため今回は定額減税補足給付金(調整給付)について簡単にご説明していきたいと思います。
〈定額減税補足給付金(調整給付)とは〉
まず初めに、今回の定額減税は現金が支給されるわけではなく、毎月の源泉所得税を減らすことにより手取り額を増やすというものでした。毎月の源泉所得税の金額が多い方であれば何の問題もなく手取り額が30,000円増えるのですが、源泉所得税の金額が少ない方に関しては年末調整まで待って税額が確定した後に不足分が支給されることになります。しかしそれでは定額減税の恩恵を受けるまでに時間がかかり物価高騰の対策でもある定額減税の意味が薄れてしまう。そのため前年の所得額などから明らかに減税しきれないと判断できる方については今すぐにでも現金を支給することにより素早く定額減税を実行しようという目的で行われたのが定額減税補足給付金(調整給付)です。
〈定額減税補足給付金(調整給付)の支給額〉
・所得税
所得税の定額減税補足給付金(調整給付)の支給額は行政により算出された令和6年分推計所得税額と定額減税可能額との差額が支給されることになります。
(例)本人分のみ、推計所得税額24,000円の場合
定額減税可能額 30,000円 - 推計所得税額 24,000円 =6,000円
調整給付は1万円単位で行われるため支給額は1万円となります。
・住民税
住民税の定額減税補足給付金(調整給付)の支給額は令和6年分住民税所得割額と定額減税可能額との差額が支給されることになります。
〈支給額が過大になったり不足した場合の対応〉
所得税の定額減税補足給付金(調整給付)の支給額はあくまで令和5年分の所得を基にした推計金額により決定されているため令和6年度分の所得が確定した際に支給金額が過大であった、または過少であったという事態が発生すると考えられます。
・過大であった場合
調整給付金の額が過大になった場合は、返還の必要はありません。
・過少であった場合
令和7年度にその不足分の給付を行う予定とのことです。
定額減税補足給付金(調整給付)に関する詳しいご説明やご自身が対象者かどうかなどの確認に関しては各市町村のお問い合わせ窓口にお問い合わせください。

令和6年度税制改正により交際費の損金算入制度の見直しが行われ、本年度4月1日支出分より適応されました。
今回は主にどういった変更点があったのか、そもそも交際費の損金算入とはなんなのか簡単にご紹介していきたいと思います。
〈そもそも交際費の損金算入ってなに?〉
皆さん意外に思われるかもしれませんが原則として法人の支出した交際費は損金(法人税を計算する際に利益の減少項目として認められるもの)となりません。しかし、現在は資本金ごとに下記の特例制度を利用することで一部を損金として扱うことができております。
・資本金又は出資金が1億円以下の法人
① 800万円までの交際費等の全額損金算入
②接待飲食費の50%の損金算入
①、②どちらかの選択適用
・資本金又は出資金が1億円超の法人
①接待飲食費の50%の損金算入
また、社外の人との飲食等で1人当たり5,000円以下(令和6年度税制改正により10,000円へ引き上げ)の飲食費は交際費等の範囲から除くことができます。
〈令和6年度税制改正による主な変更点〉
・上記特例処理の3年間の延長
上記の特例制度は本来2024年3月31日までに開始する事業年度で終了する予定でしたが今回の税制改正により、2027年3月31日までに開始する事業年度まで適用できることとなりました。
・交際費等から除外される飲食費の上限金額の引き上げ
従来の制度では1人当たり5,000円以下の飲食費は交際費から除くこととなっておりましたが今回の税制改正により、上限額が1人あたり10,000円に引き上げられました。
その他税制改正の詳しい内容につきましては令和6年度税制改正大綱、国税庁ホームページをご覧ください。

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まもなく7月も終わり、個人事業主の方々は予定納税の納付が開始されます。今年度の予定納税は定額減税の影響で納付金額、納期限ともに通年とは異なりますのでご注意ください。
予定納税とは?
予定納税とは、前年の所得税等の申告納税額が15万円以上であった方について、その方が一時に税金を納付した場合の負担感を緩和することや、国の歳入を平準化する目的から、その年の所得税および復興特別所得税の一部をあらかじめ納付しなければならないとされている制度です。翌年の確定申告において、確定申告書で計算した税額から予定納税額を差し引くことで、税額の過不足分を精算することになります。
納付金額の変更点
原則としては前年の申告納税額がそのまま予定納税基準額となり、予定納税基準額の3分の1の金額を第1期、第2期にそれぞれ納付することになります。
しかし令和6年度の予定納税では定額減税が適用されるため第1期分予定納税額(7月)から本人分の定額減税額(30,000円)を控除します。
また、控除しきれない分は第2期分予定納税額から控除し、それでも控除しきれない場合は確定申告で精算します。
扶養親族等の分は予定納税額の減額申請を行うことで、第1期分予定納税額から控除できますが確定申告で控除する方が無難でしょう。
納付期限の変更点
●第1期分は令和6年7月1日から同年9月30日まで
●第2期分は令和6年11月1日から同年12月2日まで
扶養親族分の定額減税を第一期分の予定納税で適用する際には予定納税の減額申請を行う必要があるのですがその配慮のためか今年度の減額申請の提出期限は7月31日に延長されております、そのため納付期限も従来の7月末から2か月延長されております。

国税庁は、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現に向けて、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでおり、令和6年5月以降に送付する分から、e-Taxにより申告書を提出している法人の方などについて、納付書の事前の送付を取りやめることとしております。そのため、「従来は納付書で納付していたが今後はどのように納付していこうか迷っている」、「これを機に今後はキャッシュレス納付を行っていきたい」といった方々も多いかと思われます。そこで今回は各種キャッシュレス納付方法をご紹介していきます。
① ダイレクト納付
事前に利用開始手続きを行うことでe-Taxにより申告書等を提出した後、預貯金口座から、即時又は指定した期日に、口座引落しにより国税を電子納付する手続です。
〈利用可能税目〉
すべての税目
〈利用可能上限金額〉
金融機関による
〈手数料〉
不要
〈準備・手続き〉
必要
② 振替納税
e-Taxにより依頼書を提出するか、税務署又は希望する預貯金口座の金融機関へ専用の依頼書を提出して預貯金口座からの口座引落しにより、国税を納付する手続です。また、口座振替日は各種税金により決まっております。
〈利用可能税目〉
申告所得税及び復興特別所得税
・期限内に申告された確定申告(3期)分及び延納分
・予定納税(1期、2期)分
消費税及び地方消費税(個人事業者)
・期限内に申告された確定申告分及び中間申告分
〈利用可能上限金額〉
制限なし
〈手数料〉
不要
〈準備・手続き〉
必要
③ インターネットバンキングによる納付
事前にe-Taxの利用開始手続きを行うことでインターネットバンキングやATM等により国税を電子納付する手続です。
〈利用可能税目〉
すべての税目
〈利用可能上限金額〉
金融機関による
〈手数料〉
不要(インターネットバンキングの利用手数料がかかる場合がございます。)
〈準備・手続き〉
必要
④クレジットカード納付
インターネット上でのクレジットカード支払の機能を利用して、国税庁長官が指定した納付受託者(トヨタファイナンス株式会社)へ、国税の納付の立替払いを委託することにより国税を納付する手続です。
〈利用可能税目〉
すべての税目
〈利用可能上限金額〉
1,000万円未満、かつ、ご利用になるクレジットカードの決済可能額以下の金額(決済手数料含む)
〈手数料〉
納付税額に応じて手数料あり
〈準備・手続き〉
不要
⑤スマホアプリ納付
国税庁長官が指定した納付受託者(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)が運営するスマートフォン決済専用のWebサイト(国税スマートフォン決済専用サイト)から、納税者が利用可能なPay払いを選択し、納付受託者に納付を委託することにより国税を納付する手続です。
〈利用可能税目〉
すべての税目
〈利用可能上限金額〉
30万円以下
〈手数料〉
不要
〈準備・手続き〉
不要
各種納付方法に関する詳しいご説明やお手続きに関しては下記国税庁ホームページをご覧ください。
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2023/02/2_04.htm)
