令和6年度税制改正における中小企業向け賃上げ促進税制について 

 

令和6年度の税制改正により賃上げ促進税制の期間の延長と制度変更が行われました。今回は賃上げ税制に関する概要と変更点についてご説明していきます。

 

〈そもそも賃上げ促進税制って何?〉

賃上げ促進税制とは従業員への賃上げや人材育成に係る投資額に応じて法人税の税額控除を行うことで従業員の給与引き上げ、スキルアップを促進することを目的とした制度です。令和4年度税制改正による適用要件と税額控除は下記の通りでした。

①雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加

⇒給与支給増加額の15%を法人税額または所得税額から控除

➁雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加

⇒税額控除率を15%上乗せ

③教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加

⇒税額控除率を10%上乗せ

 

〈令和6年度税制改正による変更点〉

上記①、➁の用件と税額控除に関しては変更点はありませんでしたが③の教育訓練費に関する要件が変更されました。また、女性活躍等支援として新たに5%の上乗せが追加され最大控除率が40%から45%に増加しました。また、未控除金額の繰越しが可能になった点も大きな変更点です。具体的な内容は下記の通りです。

教育訓練費(上記③)の新要件

変更前:教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加

変更後:教育訓練費の額が前年度と比べて5%以上増加していること、適用事業年度の教育訓練費の額が適用事業年度の雇用者給与等支給額の0.05%以上であること

女性活躍等支援(新設)

適用事業年度中にくるみん認定、くるみんプラス認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を取得したこと、または摘要事業年度終了の時において、プラチナくるみん認定、プラチナくるみんプラス認定若しくはプラチナえるぼし認定を取得していること

⇒税額控除率を5%上乗せ

未控除金額の繰越し(新設)

中小企業者等または青色申告書を提出する常時使用する従業員が1,000人以下の個人事業主

⇒賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額の5年間の繰越が可能

〈適用時期〉

令和6年4月1日~令和9年3月31日までに開始する事業年度

 

その他賃上げ促進税制に関する詳しい説明は下記のサイトをご覧ください。

中小企業庁 中小企業向け「賃上げ促進税制」

(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html)